パナさんの15周年用に勝手に作った501XX

昨年の秋頃、長野県は松本のpanagoriasさんに

HBTを使って簡単に仕上げてくれと頼まれたのに

やった事のないスタイルで気合が入ってしまい

やりすぎた501XX。


パナさんの15周年記念と勝手に仕上げたジーンズは止めどころを失い、

簡単に→ライトカスタム→ミドルカスタムまで仕上げる事に。


ここまでやったらフルカスタムさせてくださいと言う事で納品しましたが

当店のお客さんが興味を持ってくれたので店に戻してもらって

すぐにオーナーさんが決まったのが昨年の話。


そして週末に完成品を納品したのですがこのジーンズが

ものすごく大変だった話になります。

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12月には作業に入っていたのですがフロントポケット袋布、レングス調整、

バックポケット〜おしりを調整して5日〜1週間くらいで終わる予定で

見積もり出して了承いただいたんですが

完全に脱線して行く事になるとはこの時点では思ってもいませんでした。

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ミドルでパナさんに渡した時にはこれやりたい、あれやりたいが

イメージできてたんですがあくまでもオーナーさんがいない状態での話なんです。


オーダー品の難しさはオーナーさんが決まってるところにあります。

その方のイメージに合わせて製作して行くので個人的な感情がかなり入ります。

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例えばこのコインポケット。

自転車でお店に来てくれるオーナーさんがチャリ鍵を入れる姿を想像しました。

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実際にはベルトループに付けてるフックに付けたとしても

架空のライフスタイルをイメージしていると作り手の思いが

どんどん詰め込まれていく。


それを着用していただいた時の笑顔があるから

こんな大変な事を続けていける。

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オーナーさんのオーダーも全部入れるとおかしな事になるので

最小限の情報だけいただいて進めます。

このジーンズは穴がふさがってる事とレングス調整。

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もともと作った時には壊れてしたからHBTが出てくるようにしてた部分も

修理したり、加工したりしてキズがバサバサしないようにしていく。

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手こずったのがこの裾の処理。

簡単に考えていましたが3日かかりました。


何が問題かと言うとこのジーンズはもともとの状態で

修理がゼロのボロだったところにあります。

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ぐちゃぐちゃのジーンズをまとめる方が簡単な部分もあり、

裾のようにジーンズの目につくポイントになる部分を調整する事は困難です。


そこで雑に短くしたような仕上げにしようとしたんですが

34インチを28インチにするので裾幅も合わないし、

1本でつなぐとダサい…

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それでいてちゃんと処理して綺麗につなぐ事が

このジーンズの雰囲気には合わないので2本でつなぐ事に決める。


1本はストレート気味で2本目はカーブをつけて、自然な不自然で12センチ短くしました。

難しいのはこの12センチってところ。

最初から28インチにすると縫込み入れていくと5センチくらいは縮むので

長めに仕上げてから縫込みが必要なところにあります。


しかも「抜いた」部分には傷や修理があったのでそのバランスに頭をかかえる…


これは私しかやってない事なので正解も不正解もありません。

これがカスタムジーンズを作り出した7年以上前から実験的に作らせていただいた

初期のオーナーさん達に犠牲になっていただいた経験です。

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初期の頃は今に比べれば控えめプライスで作ってました。

ベースもまだ安かったし、あくまでも修理に使える可能性のある技術、

ひらめきを試すための実験だったからものすごい赤字。


今はその頃と似て非なるカスタムジーンズになりましたが

作れば作るほど赤字です。

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格段に完成度も上がったし、やれる事もすごく増えた。

なので物として余白もなく、極論的な物作りになっています。

ざっくり40時間かけてるといいますが実際に40時間でできるジーンズは

ほとんど無い。

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初期の頃は不安定で未完成であくまでも穿いて、

追加を入れていく事で成長させるジーンズでした。

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そんな感覚をビンテージに理解のあるパナさんの記念用として

作り出した訳ですが各部位に実験的な部分を感じたので

自分で作ったジーンズをほぼバラして再構築する事にしたのです。

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1週間の予定が2ヶ月となった理由はこれです。

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オーナーさんが決まった事でオーナーさんのイメージを

具現化する作業がそこに混ざります。

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オーナーさんがこのジーンズを最初に見た時のイメージを

最大限に残して全縫いを入れた方が普段着として

週末だけの私服を楽しめると思ったので

見た目を大きく変えない方向に進めました。

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ボロ感、雰囲気は50年代の501XXを穿いてる気持ちよさを残しながらも

何も気にしないでガンガン穿ける実用性のバランス。

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日本人の骨格と昔のアメリカ人ではウエストの位置、

お尻の大きさ、ウエストのくびれが全く違う。

長財布使う方は特にポケットの位置が合わないと感じてると思います。


ジーンズを直すって簡単な言葉ですが

なんで壊れたのかを考えると骨格や骨、筋肉の動き、利き足、

特徴的な体型、部位の使い方、ライフスタイル等まで考えなければ

本当の意味での修理は出来ません。


傷を直す事が修理だと考えていません。

なので元の構造に戻す事が正しい修理だと思っていない。

そこにはコスト、納期との兼ね合いも生じます。


あくまでもギアとして愛用できる事を一番に考えて修理する

着用型修理屋なので再生屋さん的な修理屋ではありません。

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それを解消するための工夫が機能美へと変わってるのが

バックポケットの位置変更です。


ポケット上はタイト目にジーンズを着用し、財布を入れる方はスレて傷んできます。

ここは簡単に追加で修理ができるように少しボコらせて擦れるように作っています。

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書ききれないほどの多くの技術を詰め込んだジーンズは

とにかく時間と手間をかけて製作します。


ここまで書いて申し訳ありませんが多忙すぎてこの数年は

カスタムジーンズのオーダーは受けておりません。

たぶんこれからの数年も受けないと思います。


ジーンズ修理をすればするほどその必要性と、

その先にある終え方が見えてしまうようになった。


世界的にビンテージジーンズが再び流行ってます。

過去の流行りとは全く違い、骨董品のような扱われ方になってるから

さらにヴィンテージと言う言葉に逃げやすくなったように感じます。


集める事が難しくなってるからこそ修理屋の需要が上がりそうですが

実はそんな事ないと言うのが修理屋最前線の感想で

ひと昔前の方が普通の人が買って、穿いて、直してたように感じる。


余裕がある人の道楽が多く、昔みたいに日常着としての

着用目的で起きてるブームでは無いからでしょう。

そんな今でも普段着としての着用を一番に考えて買う方が「本物」かと。


これは特定の誰か、お店、商品、その他を否定してる訳ではなく、

色んな物を見て、失敗して、経験して、勉強しようって話です。


興味を持たないと色んな物に囲まれてても何も入ってきませんから

情報社会になって頭でっかちは増えても、

経験の足元にも及ばないと思ってる古い人間の考え方です。


そんな今だからこそ

「本物」に向けた終わりのないカスタムジーンズこそが

自分の経験してきたジーンズ修理の知識を

最も生かすすべではないかと考えております。


極論だけで作業してるとそうなっちゃうんですよね…


来月は3/1の9周年に向けて

うちでしか味わえないアイテムを販売しますので

楽しみにしてて下さい。


長々とお付き合いありがとうございました。



2018..30 カスタムジーンズ comment0 trackback0
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