3rdサンプル。
これにてサンプル製作は終了となりました。
今回は1stのたたき台がシャンブレーだったので
そこに時間がかからなかった。
なのに1年以上かかりました。
コロナのタイミングで、修理の受付を辞めた。
新規の依頼が無い事で自分の時間で動けた。
これはものすごく必要な時間だと思いました。
頭使って、手を動かして、工場に伝えて、サンプル作る。
今までよりもはるかに集中できたのにこれだけの時間がかかった。
必要な時間だったと思います。
このサンプル見て無駄じゃなかったと思えた。
物作りに必要な事ってその時でぜんぜん違うけど
私には自由な時間が必要だったようです。
NAOSHIYA CUSTOM FACTORY デニムシャツJKT渾身のストレートをど真ん中に。
その球は綺麗なまっすぐなのか、
ホームベース手前で伸びるのか、
そこから浮き上がるのか。

私は基本的に力のあるストレートが投げれません。
コントロールも良くありません。
強い球もありませんが 「くせ球」 は投げます。
ツーシーム、フォーシーム、カットボール…
その球はシュート回転したり、落ちたり、曲がったり。
投げる球が毎回違います。
それでも自分の球に自信を持っています。

でも自信はありません。
もはや意味不明な説明ですが
薬の類はやっていません。
販売までたどり着いたアイテムに自信ありますが、
才能はありません。

才能の無さは頭と手を動かす事と、
圧倒的な作業量だけで積み重ねた。
努力というと違うかもですが、
経験を積む事だけで自分なりの感性を育てています。
18歳から2年間、服作りの勉強をして服の世界に飛び込みました。
メーカー、ブランド等で服作りの勉強はしていません。
修理屋としての勉強もしていません。
師匠もいませんので基本的には全てが独学です。

教えてもらえれば最短ルートがあったと思いますが、
自分なりの道を進んでここにいます。
自分なりにはこれが最短ルートだったと思います。
20年でこれですからまだまだ成長できる。

物作りとは名刺です。
自分がどんな人なのかって
この「物作り」を見ていただければ
説明不要だと思っています。
紙切れ1枚より情報量が多いから
この数年、ほぼ名刺なんて配っていません。

自分の好きな物だけ作る。
自分で着る服作ってるんだから
コストダウンなんて考えない。
自分で作って、自分で着る。
「今」を皆さんにも愛用していただきたい。
物売りではなく、技術者だから本当に商売が下手です…

ディテールに目がいきますが実用性を重視してます。
この袖もそうです。

このカフス〜剣先のバランス。
ここは特に気に入ってます。
一番は筒袖だと思いますが、
この作りでそれはおかしいからシャツ袖で
一番良いと思う形を作りました。

長ければここで折ってください。
デニムシャツJKTはシャンブレーをベースに、
シルエットから作り直してる別物です。
なんですが、
同じサイズで選んでいただいて大丈夫なように
サイズ感はほぼ合わせてます。

少し袖丈を伸ばしてるので長ければ
こんな感じで着てください。
めくればそこから痛むので布が重なってる部分で折ると良いです。
こんな感じで着ると袖先のスレも遅くなります。

この大きなポケットは
子供と出かける時に荷物入れが必要だと思い、
シャンブレーから採用したディテール。
こんな仕様はそもそも見た事ないので
何て呼ぶのか知りません。

「脇から手を入れる大型ポケット」
返しもあるので物も落ちにくいし、
いろんな物を入れれるので非常に気に入ってる。

ベンチレーションです。
それを菊穴でやるとクラシックな感じですね。

このデニムシャツJKTの最大のポイントでもあり、
これだけの為に全ての時間を使ったと言っても良いラグランは
こんな感じになりました。

なんて構造か説明できません。
名称もありません。
悩んで、もがいて、挑戦して、失敗して、
極論を形にした「前立てに流し込むラグラン」になりました。

人真似でも、モノマネでも、再現でも、パクリでもありません。
完全なオリジナリティであり、産み出した構造。
点でなく、面で力を分散する。
これで壊れる→壊れない構造になりました。

縫製箇所が少ないのもポイントです。
縫製箇所が少ない服ほど壊れません。
デニムのデッキパンツでそれを証明しています。
基本スタンスはそこなのでこれもそうです。
布を大きく使うとロスが出ます。
なので一般的には縫製箇所を増やしてでも、
布の無駄が少ないようにすればコストは下げれます。
そうやってハギの多い服ができます。

ポリシー持って物作りしてる人は皆そうだと思いますが、
ハギの多い服なんてみっともない訳です。
売れる物は作ってません。
自分が着続ける服だけを作ってます。

私はそこに強いこだわりを持っています。
なのでこの背中です。
縫製箇所が数えれます。
そこがこだわりです。

ラグランのつなぎはこの衿後ろの1箇所だけ。
ラグランにも縫製箇所はありません。
肘当て、カフス以外に余計な縫製箇所がありません。

これを見て「貧乏くさい」って思う人いないでしょ。
何かみたいだってバカにする人もいないでしょ。
だって何も真似してないから。

しかし
めんどくせー服だなあ…
自分で構成して言うのもですが、
これを形にしてくれた工場の方には感謝しかありません。

このくらい縫製が少なく、流れるような服を作る楽しさ、
ハギの少ない服を作る為にパターンの構成を考える。
コストなんか考えない物作りこそ当店の物作りです。

自分で作ったシャンブレー。
これを作るのにすごく苦労したけど

それをぶっ壊して、もう一度作り直す。

予想より簡単な事はほとんどありません。
てか、ありません。

角度と流れ。
それと戦う事1年。

努力のほとんどは報われない。

報われないには理由がある。
それをどうクリアするか?

引き出しの多様性と、
思い切った舵きりしかない。

原子力空母には乗ってません。
一人のりの手漕ぎ船しか持ってない。

エンジンも積んでないからオールで漕ぎます。

目的地が明確ならば手漕ぎで大丈夫。
何とか今回もゴールできました。

それが売れるかは別の話ですけど…
これが 「今」 です。
このデニムシャツJKTで1つ階段を上ったと思いますので、
もう一段上がれるように日々、精進いたします。
ショッピングページ長々とお付き合いありがとうございました。
興味を少しでも持っていただけたら買ってください。
よろしくお願いいたします。
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